退職代行を使った3人のケースに見る、決断から退職完了までの流れ
退職代行を使うと実際に何がどう進むのか、料金表や仕組みの説明だけではイメージしにくいという声をよく聞きます。ここでは、決断から退職完了までの流れを3つのケースとして描きました。当日どんなやり取りが発生し、何日ぐらいで区切りがつくのかを事前に知っておくだけでも、深夜に一人で抱える不安は小さくなります。同じ状況の人はいなくても、自分に近い部分を見つける手がかりになれば幸いです。

ケース1:怒鳴る上司に2年耐えた27歳・営業職の場合
入社4年目、既存顧客を担当する営業職です。直属の上司はミスがあると人前でも声を荒げるタイプで、入社当初からその怒鳴り声に萎縮する日々が続いていました。
決断まで
上司が怒鳴るのは自分の詰めが甘いからだと思い込み、2年ほどは「自分さえ我慢すればいい」と考えて働き続けました。会議中に数字の見込みを聞かれて言葉に詰まった瞬間、机を叩かれて全員の前で怒鳴られたこともありましたが、その場では謝ることしかできませんでした。ところがある月、同じ上司の下で働いていた同僚が体調を崩して休職したことをきっかけに、自分にも日曜の夜になると動悸がする、朝の通勤電車で息苦しくなる、食欲が落ちるといった変化が出ていることに初めて気づきました。転職サイトへの登録は済ませていましたが、上司に退職を切り出す場面を想像するだけで手が止まります。ある晩、眠れないままスマートフォンで「上司 怖い 退職 言えない」と検索し、そこで退職代行という手段の存在を具体的に知りました。
相談から実行まで
翌日、無料相談を受け付けている労働組合提携型のサービスに問い合わせ、状況を伝えました。民間業者では会社との交渉ができないと知り、有給休暇の消化を交渉してもらえる労組提携型を選びました。相談の中では雇用契約書の有無や有給の残日数、貸与物の一覧について聞かれ、手元にある範囲で答えました。担当者とのやり取りはチャットと電話で完結し、来社の必要はありませんでした。実行日は打ち合わせから数日後の平日に設定し、当日の朝、本人が出社する前に担当者から会社へ退職の意思と有給消化の希望が伝えられました。本人はその時間、自宅で連絡を待っていました。会社からの着信が数回ありましたが、事前の取り決めどおり折り返さず、担当者に転送する形で対応しました。
その後
会社側とのやり取りはすべて担当者が窓口となり、本人が上司と直接話す場面は一度もありませんでした。残っていた有給休暇を消化する形で退職日までの期間を過ごし、貸与されていたパソコンや社員証は着払いで返送しました。退職から2週間ほど経ったころ、日曜の夜に動悸がしなくなっていることに気づいたといいます。次の仕事を探し始めたのは、そのしばらく後でした。同じ職場に戻ることは考えていませんが、上司の怒鳴り声に萎縮する感覚そのものは、今でも時折思い出すそうです。
男性専門・労働組合提携型のサービス例です。ケース1のように有給消化などの交渉が必要な状況に対応できます。
男の退職代行 公式サイトで詳細を見るケース2:師長に言えなかった25歳・看護師の場合
総合病院の病棟に勤務する看護師3年目です。慢性的な人手不足の病棟で、夜勤明けにも呼び出しの連絡が入ることがありました。
決断まで
辞めたい気持ちはあっても、師長に伝えるタイミングがなかなか見つかりませんでした。日勤・夜勤が組まれたシフト表を見るたびに「今さら言えない」と感じ、そこに「自分が抜けたら他のスタッフの負担が増える」という罪悪感が重なりました。夜勤の申し送りで人員配置の厳しさを聞くたびに、自分の希望を口にすることがわがままのように思えてしまいます。体調不良で有給を取ることにも気を使うような職場の空気があり、次第に出勤前に涙が出る日が増えていきました。同期に相談しても「今辞めたら周りが困る」と返され、それ以上は誰にも言えなくなりました。
相談から実行まで
インターネットで同じ悩みを持つ人の情報を調べるうち、女性専門をうたう労働組合提携型のサービスに相談しました。看護師特有の事情として、夜勤明けで身体的な負担が少ないタイミングを実行日にできないか担当者に相談し、あわせて有給休暇の消化についても交渉を依頼しました。ナースシューズや院内PHSなどの貸与物は、退職後に郵送で返却する段取りを決めました。ロッカーに残っていた私物についても、郵送での引き取りを依頼できることを確認し、少し気持ちが軽くなったといいます。
その後
実行日、病棟には担当者から連絡が入り、本人が師長と直接やり取りする必要はありませんでした。有給消化期間を経て退職が完了したあと、しばらくは新しい仕事を探さず、心身を休めることを優先しました。最初の1週間は昼夜逆転気味の生活を立て直すことに時間を使い、それから少しずつ生活のリズムを整えていきました。数か月後、夜勤のないクリニック勤務への転職を検討し始めたといいます。
女性専門・労働組合提携型のサービス例です。ケース2のような有給消化の交渉や実行タイミングの相談に対応できます。
わたしNEXT 公式サイトで詳細を見るケース3:未払い残業代に気づいた29歳・IT職の場合
受託開発企業でエンジニアとして働く29歳です。みなし残業制度の運用に疑問を感じ、実際の残業時間を自分で記録し始めていました。
決断まで
自分の勤怠記録とみなし残業時間を照らし合わせたところ、数十万円規模の未払い残業代が発生している可能性に気づきました。上司や人事に相談しても「制度上の扱い」として取り合ってもらえず、このまま退職しても未払い分がうやむやになるのではという不安が強くなりました。有休を使って改めて数か月分の記録を整理し、業務用チャットのログや勤怠システムの打刻画面を保存しておきました。転職先の候補は決まりつつありましたが、退職の切り出し方と未払い分の扱いを同時に片づけたいという思いが強くありました。
相談から実行まで
未払い残業代の請求は弁護士でなければ扱えないと知り、弁護士型のサービスに相談しました。退職の意思を伝える手続きと未払い残業代の請求を同時に依頼できる点が決め手になりました。相談の際には保存しておいた勤怠記録の画面をそのまま共有し、請求の見通しについて説明を受けました。委任契約を結んだあと、退職の連絡は弁護士から会社へ行われ、未払い分については別途、会社側との交渉が進められることになりました。
その後
退職自体は打ち合わせから数日後に完了しました。未払い残業代については弁護士が会社側との交渉を続けており、合意に至るまでには一定の期間がかかったといいます。個別の金額や結果は状況によって大きく異なるため、同様の不安がある場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士型のサービス例です。ケース3のような未払い残業代の請求は、労働組合ではなく弁護士でなければ扱えません。
弁護士法人ガイア 公式サイトで相談する3つのケースから分かる共通点
業種も状況も異なる3つのケースですが、共通しているポイントがあります。
類型選びが結果を左右する
3つのケースに共通するのは、退職代行そのものより「どの類型を選ぶか」が結果を左右しているという点です。ケース1・2のように有給消化などの交渉が必要な場合は労働組合提携型、ケース3のように未払い残業代が絡む場合は弁護士型でなければ対応できません。民間業者は退職の意思を伝えることはできますが会社との交渉権はないため、状況に合わない類型を選ぶと「思っていたことができなかった」という結果につながりやすくなります。3類型の違いは退職代行おすすめ比較で詳しく整理しています。
相談前に準備しておきたいこと
- 雇用契約書・就業規則(有給残日数や退職に関する規定の確認用)
- 会社から貸与されているものの一覧(社員証・PC・制服など)
- 未払い残業代や給料の証拠になりそうな勤怠記録・給与明細
- 連絡が取りやすい時間帯と、緊急連絡先として使いたくない電話番号
これらを事前に整理しておくと、無料相談での状況説明がスムーズになります。
深夜の衝動申込みより、まず無料相談から
3つのケースはいずれも、深夜に検索してその場で契約したわけではなく、まず無料相談で状況を伝えるところから始まっています。多くのサービスは相談自体を無料で受け付けており、契約前に類型の違いや対応できる範囲を確認できます。不安な気持ちのまま勢いで申し込むより、状況を整理してから相談したほうが後悔を防ぎやすくなります。また、心身の不調がすでに強く出ている場合は、退職の手続きより先に医療機関へ相談してください。労働条件に関する悩みは、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」(無料)でも相談できます。
あなたの状況に近いケースは?
3つのケースのうち自分の状況に近いものが見つかったら、それぞれのテーマを詳しく扱った記事もあわせて参考にしてください。
- 上司が怖くて自分から言い出せない → 「辞めたい」と言えない・怖いと感じるあなたへ
- 看護師で人手不足の罪悪感がある → 看護師が退職代行を使うときに知っておきたいこと
- 有給消化や未払い残業代が心配 → 退職代行で有給休暇や未払い給与はどうなる?
- どの類型・サービスが自分に合うか分からない → 退職代行タイプ診断(無料・30秒)
よくある質問
- この3つのケースは実在の人物の話ですか?
- いいえ。公的統計や公開されている相談事例の傾向をもとに編集部が再構成した架空の事例です。実在の人物・企業・特定サービスの利用実績を示すものではありません。
- ケースと同じ流れになれば、必ず同じ結果になりますか?
- なりません。会社の対応や個人の状況によって流れは変わります。ケースは手続きの大まかな流れを理解するための一例です。
- 自分の状況がどのケースに近いか分からない場合はどうすればいいですか?
- 記事後半の対応リンクを参考にするか、複数のサービスの無料相談で状況を伝えて比較することをおすすめします。
- ケースに出てくる「労組型」「弁護士型」とは何ですか?
- 退職代行には民間・労働組合・弁護士の3類型があり、交渉できる範囲が異なります。詳しくは比較記事で解説しています。
