次が決まっていない状態で辞めるのは危険?生活費の不安への具体的な対処法
結論から言うと、次の仕事が決まっていない状態で退職すること自体は、法律上まったく問題ありません。民法627条により、期間の定めのない雇用契約は申し入れから2週間で終了するとされており、そこに「次が決まっているかどうか」という条件は含まれていません。それでも不安が消えないのは、法律の話ではなく「その間の生活費」というお金の話だからです。この記事では、辞める前に確認しておきたい生活費の把握方法と、使える可能性のある公的な支援制度、退職代行を使う場合の注意点を具体的に整理します。
次が決まっていなくても辞めること自体は違法ではない
結論として、退職に会社の許可や「次の内定」は法律上の条件になっていません。民法627条1項により、期間の定めのない雇用契約は、労働者から申し入れをした日から2週間が経過すれば終了するとされています。会社の就業規則に「退職は1ヶ月前までに申し出ること」といった規定があっても、多くの場合それは社内ルールであり、法律上の権利そのものを制限するものではないと一般に解釈されています。つまり「次が決まってから辞めるべき」というのは世間でよく言われるアドバイスであって、辞める・辞めないを決める法律上の条件ではありません。
それでも「次が決まってから」と言われるのはなぜか
結論として、この助言自体は経済的なリスクを避けるための一般論であり、間違いではありません。ただし、それを実行できるかどうかは人によって事情が異なります。心身が限界に近づいている状態で「次が決まるまで我慢する」ことがかえって回復を遅らせる場合もありますし、収入が途切れることへの不安と、今の環境に居続けることへの不安を天秤にかけたとき、必ずしも前者が常に上回るとは限りません。大切なのは、「次が決まっていないから辞めてはいけない」と自分を追い詰めることではなく、辞めた後のお金の見通しを先に立てておくことです。
辞める前に確認しておきたい「生活費の実際」
結論として、不安の正体の多くは「いくら必要で、いくら手元にあるか」が曖昧なことにあります。まず、毎月かならず出ていく固定費を書き出してみてください。
- 家賃・住宅ローン
- 水道・電気・ガスなどの光熱費
- スマホ・通信費
- 保険料(生命保険・医療保険など)
- 奨学金やローンの返済
これらの合計に、食費など変動費のおおよその見込みを足したものが「毎月最低限必要な金額」です。次に、今ある貯蓄をその金額で割ると、「何もしなくても生活できる月数」がわかります。この数字が具体的に見えるだけで、漠然とした不安が「あと何ヶ月の猶予があるか」という扱いやすい問題に変わります。数ヶ月の余裕があるとわかれば、退職後の手続きや転職活動のスケジュールも立てやすくなります。退職後にやるべき手続き(健康保険・年金・住民税・失業給付)は退職後の手続きチェックリストの記事にまとめています。
お金の不安を減らすために使える公的な制度
結論として、貯蓄だけに頼らなくても、条件を満たせば利用できる公的な制度がいくつかあります。代表的なものが、雇用保険の「失業給付(基本手当)」です。会社都合・自己都合など離職理由によって受給できる時期や日数が変わり、自己都合退職の場合は原則7日間の待期期間に加えて給付制限期間が設けられます。受給条件や金額の目安は失業保険がもらえるかどうかの記事で詳しく解説しています。
雇用保険を受給できない、または受給が終わってしまった場合の選択肢として、厚生労働省の「求職者支援制度」があります。ハローワークで求職の申し込みをした上で無料の職業訓練を受講すると、本人収入が月8万円以下・世帯全体の収入が月30万円以下・世帯の金融資産が300万円以下などの要件(いずれも一般的なケースの目安)を満たす場合に、月10万円の「職業訓練受講給付金」を受けられる場合があります。原則として訓練日の8割以上の出席が必要になるなど条件があるため、詳細と最新の要件は必ずハローワークまたは厚生労働省の公式サイトで確認してください。
すでに生活費そのものが不足しそうな場合は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会が窓口となっている「生活福祉資金貸付制度」の総合支援資金(生活支援費)も選択肢になります。失業などで生活に困窮している人が、ハローワーク等の支援を受けながら、原則3ヶ月間(最長12ヶ月まで延長可能)、単身世帯で月15万円以内・世帯の場合は月20万円以内の貸付けを受けられる制度です。貸付である以上返済が前提になるため、金額や条件は必ず利用前に確認してください。
「次が決まっていない」まま退職代行を使う場合の注意点
結論として、退職代行は会社への意思伝達や交渉を代行するサービスであり、生活費を貸してくれるものではありません。それでも、自分で退職を切り出すことがつらい状況で、貯蓄や公的制度である程度の見通しが立ったなら、退職代行という選択肢を使うこと自体に問題はありません。退職代行には大きく3つの類型があります。民間業者は退職の意思を会社に「伝える」ことのみが可能で、退職日や有給消化などの交渉はできません。労働組合提携型は団体交渉権に基づき、退職条件について会社と交渉できます。弁護士型は未払い残業代の請求や損害賠償への対応など、法律事務全般まで依頼できます。3類型の違いと選び方は退職代行3類型の比較記事、料金の目安は退職代行の料金相場の記事で具体的に整理しています。有給休暇が残っている場合、退職日までの分をきちんと消化できれば、その分の給与収入を生活費の見通しに組み込むこともできます。
それでも不安が消えないときは
結論として、お金の不安と、辞めたい気持ちを言い出せない不安が重なって身動きが取れなくなっている場合は、一人で抱え込む必要はありません。眠れない・食欲がないといった心身の不調がすでに出ている場合は、まず医療機関を受診してください。また、退職や生活費に関する悩みは、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」(無料)でも相談できます。専門の相談員が状況を整理し、必要に応じてハローワークや社会福祉協議会など、他の窓口を案内してもらえます。そもそも「辞めたい」と言い出せないこと自体がつらい場合は言い出せないときの対処法の記事も参考にしてください。
出典:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」(求職者支援制度)/厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」(生活福祉資金貸付制度)
よくある質問
- 次の仕事が決まっていない状態でも退職代行は使えますか?
- 使えます。退職代行はあくまで退職の意思を会社に伝える(または交渉する)サービスであり、次の職が決まっているかどうかは利用条件になっていません。
- 貯金がほとんどない状態で辞めても大丈夫ですか?
- 法律上は問題ありませんが、辞める前に毎月の固定費を洗い出し、貯蓄で何ヶ月生活できるかを把握しておくことをおすすめします。あわせて失業給付や求職者支援制度など公的な支援の対象になるか確認しておくと安心です。
- 失業保険はすぐにもらえますか?
- 自己都合退職の場合、原則として7日間の待期期間に加えて給付制限期間があり、退職してすぐに振り込まれるわけではありません。詳しい条件は別記事にまとめています。
- 生活福祉資金貸付制度を使うと、あとで返済が大変になりませんか?
- 貸付制度である以上、返済は前提になります。無利子・低利子の場合が多いとされていますが、貸付額や返済条件は世帯の状況によって異なるため、利用前に必ずお住まいの社会福祉協議会に確認してください。
